顔面けいれん

顔面けいれん

convulsions

顔面けいれんとは

顔面けいれんは、顔の表情を作る筋肉が自分の意志に関係なくけいれんする病気です。
症状は、片方の目の周り(特に下瞼)の軽いピクピクしたけいれんで始まり、次第に同じ側の上瞼・頬・口の周りなどへ広がっていきます。けいれんの程度が強くなると、顔がキューっとつっぱり、引きつれる状態になります。長期になると自然に治癒することはほとんどありません。また、ストレスなどでも誘発されます。病気自体は生命にかかわるものではないだけに、放置してもまったく差し支えないものです。しかし自分の意思とは関わりなく顔面が動く、ということで対人関係に苦労し、仕事上も他の人と会う仕事にさしさわる、ということもあります。また、片目をつぶってしまう、ということは実際上の不自由もあり、機械の操作が不自由である、あるいは運転のときに片目をつぶって事故をおこしそうになる、といったことで困る方もいます。したがって、ご本人が困っている場合には治療を考えるということになります。

  • 片側顔面けいれん
    片側の下瞼がピクピクする。徐々に症状が悪化し、同じ側の頬・口の周りまで広がってきます。
  • 眼瞼けいれん
    両目が閉じてしまい、開かなくなります。原因ははっきりしておらず、眩しい光やストレスで症状が強くなります。
  • 顔面ミオキミア
    下瞼がピクピクする。多くは眼精疲労や睡眠不足で出現します。

これらの病気は、『チック』とも言われています。これらの中で治療が必要となるものは、片側顔面けいれんと眼瞼けいれんです。特に片側顔面けいれんは、原因が顔を動かす神経(顔面神経)が脳幹からでたところで血管に圧迫されて起こるので、完全に治癒するには手術が必要となります。

頻度

10万人に7~15人。40~70歳。女性に多い傾向があります。

症状

顔面けいれんの原因は、三叉神経痛と同様、顔面神経が脳幹からでたところで血管によって圧迫される“神経血管圧迫”です。

診察

火・水・木曜日の午前中の外来を受診してください。
都合により変更する場合もありますので、外来スケジュールで清水暢裕医師をご確認ください。
また、初診の方のみ予約できます。

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診断

当院では、高性能MRI装置・高性能ワークステーションを使用して神経と血管・脳幹を3次元で表示することにより非常に高い確率で診断・治療を行えることが可能となっております。

当院で行なっている治療

  • ①薬物治療
    初期の軽症例に効果がありますが、顔面けいれんは進行します。
  • ②ボトックス治療
    ボツリヌスから造られたボトックス療法です。薬剤を顔面に直接注射します。約3~4ヶ月間は効果があります。

ボツリヌス毒素局所注射

ボツリヌス菌が作り出すA型ボツリヌス毒素を成分とする薬を目の周りに数カ所とほほや口の周りに数カ所、ごく少量します。副作用はほとんどありませんが、皮膚の湿疹や薬の効き過ぎ(瞼が閉じない等)があり、効果が切れれば元に戻ります。
注意)ただしこれは症状を一時的に抑えるだけの治療です。1回の注射につき保険3割負担の場合で約15,000円かかります。当院では、毎週木曜日の午前中に外来にて行っております

  • ③手術治療
    手術は全身麻酔で行います。

神経血管減圧術

手術用顕微鏡を使用して直接神経から血管の圧迫を取ります。現在のところ、完全に治癒するにはこの方法しかありません。
耳の後ろを約4~5cm切開し、頭蓋骨に小さな穴をあけます。頭蓋骨と小脳の間から侵入し、三叉神経と圧迫血管を剥離して当たらないように固定します。特に問題がなければ約2~3時間で終了します。当院での過去5年間の手術成績では、97%の改善率となっています。
一時的な顔面神経麻痺・感染症などは18%です。重度合併症や死亡例はありません。
一般的に合併症がなく2週間での入院治療の場合、3割負担の方で約26万円、2割負担のかたで約17万円となります。(高額療養費制度適応です)

右顔面けいれん 手術シュミレーション3D動画

顔面けいれんに対する当院での総手術件数
2017年12月~2025年1月 62件